宮城県の高校入試制度を詳しく解説【最新版】

はじめに

2020年(平成32)3月実施の公立高校入試から、宮城県では大きな入試制度の変更が行われました。
詳しい内容は、宮城県高等教育課のホームページに書かれています。
宮城県のホームページは時期ごとに様々な情報が掲載されていきます。
宮城県のホームページ
書かれているとはいっても、資料だけでは分かりにくいですし、読むのに時間もかかります。
学習塾にとって入試制度の情報を追ったり、話し合ったりすることは日常的ですが、保護者の方がそれを追っていくことは容易ではありません。

そこで、今回は現行の宮城県の高校入試制度を要点をまとめて解説したいと思います。

宮城県の高校入試はこうなった!

いつから始まるか?

2020年(平成32)3月に実施する高校入試からの適用になります。
2017年度の中学校1年生(2017年の中1)はこの新しい入試制度の下で受験を受けることになります。
現在この記事を読んでいるみなさんは新入試制度での受験となります。

前期・後期制は無くなった

入試制度の変更によって、前期・後期は無くなりました。

これによって、前期入試が終わった後に、入試が終わった生徒と、これから始まる生徒が混在することはなくなります。

ただ、気をつけなければならないのは、選抜方法が2種類になる点です。
一人の生徒を「共通選抜」と「特色選抜」という2つの観点からみて合否を決めることになります。

全員が5科目のテストを受けて、面接・作文・実技なども受けて、「共通選抜」の観点から合格するか、「特色選抜」の観点から合格するか、どちらかになります。

そうすると、「共通選抜」と「特色選抜」のどちらでも合格する生徒はどうするの?
っていう疑問が生まれますが、それは学校ごとに最初にどちらの選抜の合格者を出すか、順番を決めることができます。
学校の色が出そうなところですね。

※2018年12月18日に(仮称)ではなく実際に「共通選抜」「特色選抜」に決まりました。

共通選抜って?

「共通選抜」は今までの後期入試と全く同じ入試です。
5教科の学力検査(500点満点)+調査書(195点満点)を選抜の基本とします。

学校ごとに学力検査点と調査書点で比重を決めることができるのも同じです。
(学校ごとに学力検査点を重視するか、調査書点を重視するか違うということ)

ですので、今までと変わりはなく、内申点を意識しながら、5科目の勉強をしっかりと勉強することが大切です。

特色選抜って?

こっちの「特色選抜」は今までと異なる点が多くあります。
「特色選抜」の概要を説明したものを、「平成29年度第2回高等学校入学者選抜審議会」の内容から抜粋します。

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特色選抜は、受験生のもつ多様な資質・能力、適正、意欲を適切に評価するため、各高等学校及び学科等の特色に応じて選抜資料の配点等を共通選抜と別に定めるなどして、各高等学校及び学科等の求める生徒像に照らして総合的に審査し、選抜する。
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つまり、学力だけを基準としない、多様な生徒像を求めるための試験ということです。

具体的なポイントは5つあります。

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ポイント①
各校は面接・実技・作文などの評価を選抜資料に加えることができる
→これは学力以外のものでも得点化して、判断して良いということです。
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ポイント②
学力検査点は各教科の学力検査得点を0.25〜2.0倍して算出する
→学校によっては数学だけを2倍の点数!とか、学力検査点は全部0.25倍!なんてできるということです。
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ポイント③
調査書点は各教科・学年の評定を0.25〜2.0倍して算出する
→学校によっては、中2からの評定は2倍!とか、そもそも評定は全部0.25倍!なんてできるということです。
ちなみに、不登校生徒を積極的に受け入れる学校では、評定を0.25倍以下にすることもできます。
つまり、評定全く関係なし!もできるということです。
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ポイント④
特色選抜の対象は学力検査点、調査書、面接などの得点の合計点上位から、特色選抜募集人数の120〜200%の範囲に含まれるものとする。
→これは、「総合的判断」をするからといって、点数が全然ダメな生徒が合格することはないよってことです。
確かに、「総合的判断」で誰でも合格にできちゃうと、裏口入学みたいなのができちゃいますからね。
ある程度の実力は保たれていないとダメですよってことです。
逆に言えば、この範囲に入ることができれば、あとは「総合的判断」によって合否が決まるということです。
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ポイント⑤
特色選抜の募集割合は10〜50%の範囲(体育・美術科は90%まで)
→全部を特色選抜にしちゃいけません。でも特別な学科は90%まで許しますってことですね。
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2020年は大学入試制度改革が始まる年でもある!

2020年は大学の入試改革が始まる年でもあります。
宮城県で2017年度に中1になった生徒は高校受験でも、大学受験でも現行の入試制度とは異なるものになります。

この大学入試制度の改革は、センター試験に代わる「大学入学共通テスト」を使って、大学入学者を選抜したり、新しい学習指導要領が導入されたりと、様々な点で変化をもたらします。
他にも、「高校生のための学びの基礎診断」を高校在学中から実施するのも大きな変更点の一つと言えます。

教育の2020年問題なんて言われたりもしていますね。

これは社会の子供達に求める能力が変わってきたことを示すといって良いでしょう。


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ここからは私の主観です。

この入試制度の変更は、メリットが多い。

私はこの入試制度の変更はメリットが多いんじゃないかと思っています。
特に「子供達の負担軽減」「教員の負担軽減」の効果は大きいとでしょう。

今の入試は、2月頭から入試が始まって、3月の中旬までかかっていますからね。
学校の先生も、生徒も大変だと思います。

また、前期入試って倍率が高いので、不合格もたくさん出ていました。
不合格の経験が悪いとは言わないけれど、それが後期入試にまで影響することもあります。

それに、今回の変更では内申点の比重がかなり軽くなっています
前期入試だと、225点満点にして内申点を計算していましたし、受験資格にも内申点を使っていました。
これだと内申点をいかに取るかみたいな感じになってしまいます。

宮城県の場合、中学校ごとに内申点の均一化をしていないので、内申点の比重を重くしすぎることは危険だと思います。
学校の先生の気持ち次第で大きく内申点が違いますし、中学校ごとに内申点を取りやすい学校とそうでない学校が出てきてしまいます。

私はこの入試制度の変更は良いんじゃない!と思ってみております。

5科目の勉強が必須!

気をつけなければいけないことがあります。
それは、2020年の入試から、理科・社会の重要度が上がるということです。
今までの前期入試は理科・社会を除く、3科目での受験だったんです。

なので、前期入試に向けて3科目を勉強して、そのあとに理科社会を本格的にやる!って感じがあったと思います。
前期合格に向けて全力だった生徒が、合格した後に必死に理科・社会をやるとは思えませんから、3科目の勉強しかやらずに高校生になる生徒も一定数いたわけです。

しかし、2020年の入試からは高校受験をする生徒みんなが5科目を必ず受験しなければなりません。

私はこの方が健全だと思いますし、生徒も勉強しやすいでしょう。
だって目の前に前期入試が迫っているのに、理科社会の勉強なんて、なかなか手につかないでしょうから。

5科目の勉強をバランスよくやることが、中学生にはまとめられますし、場合によっては、小学生からしっかり理科社会の基礎を身に付けることが大切になります。

この入試を突破するために何が必要か?

ここは様々な意見があるところだと思います。
ただ、間違い無く言えることは、「学力はすごく大切」ってことです。

いくら多様な人材が欲しいとはいっても、5科目の点数は必ず見られます
それに、高校がもとめるのはやっぱり学力だというのは、今までの前期入試の傾向からもわかります。

同時に、内申点の重要性もちょっと低くなったとはいっても、やっぱり大切なものに違いはありません。
内申点を中学校1年生から意識して生活すると、受験の時に周りとの差に繋がっているでしょう。

実は受験生のやること自体にそこまで大きな変化があるとは思えないんですよね。
5科目の勉強をしっかりやって、一回の試験で結果を残す。
前期入試の基準に達していない生徒は今までもそうやってきたわけですから。

入試制度の変更最初の年は、「弱気受験」が多くなるかも?

この入試制度の初年度は、「弱気受験」が多くなるんじゃないかと予想しています。
受験機会が一度しかない上に、新入試制度で初めての受験です。

偏差値を下げ気味に出願するという気がするんですよね、全体的に。

宮城県は公立信仰の強い土地柄ですから、絶対公立!っていう家庭がかなり多いです。
なので、もともと公立を抑え気味にいく傾向が強いですから、特に中堅高校くらいはそういう傾向が強くなるように思います。
一方、上位の高校はそのまま受けて行く可能性が高いと思いますから、中堅よりちょっと上くらいの高校の倍率が下がるんじゃないかな?って勝手な予想をしています。

当たったら拍手をください笑

そんなわけで、宮城県の入試制度の変更点と私の主観を述べました。

読んでいただいてありがとうございました!


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